リブパンツから見えてくるSTUDIO ORIBE、JAMES & CO.が目指すものづくり -Vol.3-

リブパンツから見えてくるSTUDIO ORIBE、JAMES & CO.が目指すものづくり -Vol.3-

STUDIO ORIBE20周年。止められないラクチンファッションへの流れ

塩谷:20周年の2019年はコロナがあって、アウトドアブームが始まって、どんどん街着がラクチンファッションに変わっていった。

そこからスタジオオリベの定番自体も例えばクライミングパンツでワイドを出したり、新たに定番に加わったライドオンデニムもルーズというバージョンを出してみたり。

-時代的にも定番5型を進化させていかなければと思ったきっかけになった年だったんですね。ここに対しては当時どんな気持ちだったか?

塩谷:ファッションが全体的にラクチンになって、緩くなっていくという流れが止められない中で、一回ラクチンな格好した人って、なかなか窮屈で我慢するところには戻ってこれないと思うんだよね。

あとは、定番を売り続けると言いながらも、やっぱり我々自身も時代を感じて、JAMES & CO.の服が好きなお客さんもちゃんと時代にマッチしたお洒落なお客さんでいてほしいから。

いつまでも20年前のぴったりとしたシルエットの格好してるんじゃなくて、もうちょっとリラックスした格好した方がいいんじゃないですか?こんなふうに来たらもうちょっと今っぽく着こなせるんじゃないですか?っていうことを提案してあげて、実際にうちのファンでいてくださるお客さんがいつの時代になってもその時代にあったお洒落でいてくれるっていうことが大事だなって思ってます。

8ポケが大好きです!20年前からLポケ穿いてます!みたいなお客さんでも、そのお客さん自体が分かってなくてもパンツに微修正を加えて、少しずつシルエットを緩くしてあげたり、少しずつ楽にしてあげたり。そうすることがその時代に合わせて定番を進化をさせていくっていうことだと思ってます。

-時代に合わせて細かなマイナーチェンジをしてきたことが、ここまで長く愛され続けている理由ですね。そんな中で今回のリブパンツの大きなリニューアルを決めた理由を教えてください。

塩谷:まず自分たちが細い形をだんだん穿かなくなっちゃっているところも現実的には大きい。スタッフが細いリブパンを誰か履いてるの?て言うと、みんながやっぱり穿かなくなってきちゃったというのもある。

そろそろリブパンツも思い切って太くしてあげてもいいのかなって。自分の中ではどこでそれをやればいいかなと考え続けていましたけど、そろそろかなあぁと今回思い切ってリニューアルしました。

-クライミングパンツやデニムのように細身を残してワイドを作るという選択はなかったんですか?

塩谷:多くの方に愛用してもらってるからこそ、お客さまからも、たくさん売ってもらってるお店さんからも「リブパンが太くなっちゃうの?」「リブパンツが太いなんて・・・・」とか、いろんな声が聞こえました。

でも、リブパンってそもそもコンセプトが「リラックスして穿けて、オリベの中で一番の楽ちんパンツ」。なので今回細身は残さずに、思い切って細身からゆったりリラックスしたシルエットにリニューアルしました。

自分達が穿きたいシルエット、それでありながら今までの細いリブパンが大好きだっていうお客さまにこそ、「リニューアルして太くなりましたけど穿いてみてください」と言って、実際に穿いてみたら「これいいね」「これの方が楽だね」「かっこいいね」て言ってもらえる事が一番嬉しいことだし、そうあってほしいなと思いながら、結構大胆に太めにリニューアルさせてもらいました。

-生産に携わりながら、長きにわたってリブパンツの歴史を見てきている鈴木さんからみて今回のリニューアルはどう思いましたか?

鈴木:リブパンツは20周年のときに微修正してちょっと大きくしたんですよね。股上を深くして、渡幅も広く。そこから今回のリニューアルは大きなデザイン変更で本当により穿きやすくなってると個人的な感想としてはありますね。

僕はこれまでリブパンツを履いてお店に立ってたことも過去に多くて、昔は僕に似たちょっとぽっちゃり体型の人がリブパンツを購入してるっていうケースが結構多かった。

でもこのパンツに関しては今も時代っていうのもあるけど、そういう人に限らずぜひ試して欲しいと思ってます。

これからのJAMES & CO.の服作りについて

鈴木:僕は「生産担当」で塩谷さんが考えたものを、工場さんに作っていただく橋渡しをしている仕事です。「JAMES & CO. のものづくり」は、会社全体の考えでもあるんですけど、「作り手も買い手もみんながハッピーになれる」っていうスタンスがあります。

「無理がないものづくり」って本来は当然のことなんですけど、縫ってくれている方とか、生地を織ってくれている方の「顔が見れて」「お互いに幸せになれるような仕事」をするようにしています。

出来るだけ同じところ、同じ人に毎回お願いしてより「良いもの」を作る。「良いもの」って「きれいに」という考えもあるかもしれないけど、僕の言葉で言うと「真面目に」という意味なんです。今後も今まで通りそういう「ものづくり」がしたいなって思っています。

塩谷:新潟JAMESが今年40周年、JAMES & CO.鎌倉が14周年。ものづくりという意味ではいっぱいブランドがある中で、JAMESらしいところがどこなのかなと改めて意識してます。

代官山から鎌倉に移ってからは、メンズもレディースも一緒に着れるというのを大切にしていて、男の人ってファッションをつき詰めていくと、革靴履いて、格好つけてみたいなところもあるんですけど、自分は自分が着る以上に作った服が自分も着れるし、自分の奥さんも着れるしみたいなことを意識してて。

大人のためのユニセックスブランドとして、いくつになっても男性・女性ともに買い物を楽しみに来て欲しいし、そういう人たちの期待を裏切らないようにしたいですね。そこに対してブレないことが、大切なのかなと思います。

JAMESらしさがどんなところなのかなっていうのを自分なりに意識しながら、またこれから先の服作りというか、JAMES & CO.というブランドをみんなで一緒に頑張っていきたいなと思います。

●インタビューの様子はYouTubeでもご覧いただけます。
https://youtu.be/fnF4Y04CQ-k